効果的な自毛植毛
人工毛植毛
危険な人工毛植毛
人工毛植毛とは、自分の髪の替わりにナイロンか化学合成繊維で造られた人工毛を頭頂部や前頭部など薄くなった部分の頭皮に埋め込む方法である。
しかしながら、皮膚というのは外界に対する生体のバリアーであり、人工毛植毛はその防御壁を突き破って異物を無理矢理体内に入れるわけであるので、身体はあくまでもそれを拒絶しようとする。
また、頭皮には40種類以上の常駐菌がいるといわれるが、人工毛を植え込んだ部分は、そのような雑菌の進入口になってしまう事も多い。
人工植毛は、以上のような問題点を抱えている為、施術後すぐに人工毛髪が抜け落ちたり、頭皮が感染症を起こしたりすることが非常に多く見られた。
このようなことで、人工植毛がはじめに普及したアメリカでも最終的には人工毛植毛は禁止になり、日本でも以前に「被害者の会」が結成されるなど社会問題になったりもした。
自毛植毛
回復率の高い自毛植毛
人工毛植毛が上記のような危険性をはらんでいるのに対し、自毛植毛は、自身の毛髪を毛根ごと移植するので、身体もそれを異物とは見なさず、また雑菌の進入口ができてしまうこともない。
採取するのは後頭部や側頭部の毛髪 (および毛根) であるが、これらの部分はDHT (活性型男性ホルモン) の影響を受けにくいといわれる。
そして、それらの部分から採取した毛髪を、DHTの影響を受けやすい頭頂部や前頭部に移植しても、移植前の部位にあった性質を持ち続けるという。(脱毛しにくいという性格を保持する。)
この頭髪の特徴を、ドナードミナントという。
自毛植毛後の発毛率は、だいたい90%以上ということである。
自毛植毛の注意点
自毛植毛の際に注意すべき点としては、以下の点が挙げられる。
1. 全身麻酔で行う手術である
自毛植毛は、必要な本数分の髪が生えている頭皮を切り取り、切り取った頭皮をいくつかの毛根ごとに細かく仕分けした後に、再び増毛させたい部位に植えつけるという作業を行う手術であり、その間は全身麻酔を施して行われる。
2. ある程度毛髪本数が残っている必要がある
自毛植毛は簡単に言ってしまえば、髪の毛を移動させることであるので、すでに髪の毛が大部分抜け落ちてしまっている人には無効な方法である。
少なくとも、最も毛髪量が豊富であった時の1/2程度はまだ毛髪が残っている必要がある。
3. 毛根の間隔が若干空いてしまう
自毛植毛の方法であるレーザー植毛や、自動植毛機などを使うパンチ・グラフト植毛などでは毛根間の密度をあまり高くすることができないという弱点がある。
現在、毛根間の密度を一番高くできる方法は、手作業によって株分けと植え込みを行う方法であるが、それでも、密度を高めるのには限界がある。
4. 移植元の頭皮の縫合痕
植毛は、後頭部あるいは側頭部から頭皮を切り取るので、その縫合痕がどうしても残ってしまう。
ただし、縫合痕は時間と共にかなり目立たなくなり、後頭部の毛髪でカバーされて見えない状態になっているので、日常生活で問題になることはまずないといえる。
5. 費用が高額である
植毛の費用は各クリニックごとに違うが、保険も適用されないので、おおよそ1回の手術につき、70-300万円ほどかかってしまう。
しかし、植毛を行うクリニックは、金額で選ぶのではなく、持っている技術の高さで選ぶべきであると思う。
毛髪培養
毛髪培養とは?
毛髪培養とは、自らの脱毛症になりにくい部位の毛乳頭を1本あるいは数本程度採取し、クローン技術によって必要な本数まで培養して増やした後に、薄毛の部位に移植する施術である。
残念ながら、現在のところは実験段階であり、実用化にはあと数年は要するものと予想される。
毛髪培養のメリットとしては、何といっても、毛根を人工培養によって増やす為、好きなだけ毛髪を増毛できることである。
また、ドナーとして採取するのは数本程度であるので、植毛法のように後頭部に縫合痕が残らないというのも大きな利点である。
ただし、デメリットもある。
まず、培養した細胞は正常の毛髪細胞より長く生きられない。
それは、体を作る正常な細胞は、分裂できる回数に制限があるので、培養中に分裂した回数だけ寿命が短くなると考えられるからである。
それから、毛髪培養技術はまだ実験段階であり、数年後かに実用化されたとしても、当初はかなりの高額な施術費用が予想されることもデメリットの1つに足してよいと思う。
体毛移植
体毛移植とは?
体毛移植とは、自毛植毛のように後頭部などの頭皮を利用するのではなく、胸毛など頭部以外に生えている体毛の毛根を摘出し、その毛根を頭部に移植する施術である。
自毛植毛のように頭皮を摘出することもなく、なおかつ、ムダ毛をなくせるという利点もある。
現在のところ、日本国内で体毛移植を行っているクリニックは無いので、体毛移植手術を受けるには海外にまで行く必要がある (オーストラリア・シドニーのクリニックなど)。
費用は1200本で約70万円ほどである。